未来に架ける人の輪・音の輪 第10回 津山国際総合音楽祭の公式ホームページです。

第10回 津山国際総合音楽祭委員会

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音楽監督メッセージ①

第10回津山国際総合音楽祭協賛事業


津山市国際総合音楽祭委員会
〒708-0022
岡山県津山市山下68
津山文化センター内

電話受付 9:00~17:00

音楽監督メッセージ①

 ―テーマフェスティヴァル

           船山 隆

   このコラムのメッセージは、第10回目の音楽祭について、さまざまな視点から考え、2017年7月から11月まで全5回にわたって、

   毎月1回月初めに連載いたします。

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  津山国際総合音楽祭は、いくつもの特徴をもっていますが、これまでの全10回にわたって毎回テーマを設定してきたということは、内外のフェスティヴァルのなかでも際立った特色といえるでしょう。今回は過去の30年を回顧する資料展も開かれるので、そこでこれまでの様々なテーマをご確認していただきたいと思います。第10回目のテーマは、<G.マーラーと同時代の音楽>です。

 マーラー(18601911)は、ロマン派の音楽が成熟し崩壊する世紀末から20世紀はじめの時代の作曲家です。<やがて私の時代がくる>というマーラーの言葉は有名ですが、この言葉は、同時代を生きたライバルのR.シュトラウス(18641949)の人気がひじょうに高かった事実に対して、恋人のアルマに自負の念をこめて語ったものです。またマーラーは、自分とシュトラウスは、同じ山の下のトンネルをまさに正反対から進んでいるとも語っています。シュトラウスの≪死と変容≫は、いま最も精力的な活動をしている指揮者下野竜也の選曲です。

 

 E.サティ(18661925)は、マーラーの対極にいるフランスの作曲家で、サティについて考えることは、マーラーについて考えることになります。サティの≪ヴェクサシオン≫(1895年頃)は、9時開演で25時終演の長大な演奏会であるが関西中国地方では初めてのコンサートです。ストラスブール音楽院教授の小林真理は、岡山出身の名ピアニストの棚田文紀とマーラーの≪子供の不思議な角笛≫(189295)を歌いますが、アンコールではサティのひじょうによく知られた≪あなたが欲しい≫(1900年頃)でサティの音楽の魅力を聴かせてくれるはずです。そしてこの二人は≪ヴェクサシオン≫のコンサートにも出演する予定です。

 

 1021日のコンサートでは、下野指揮の京都市交響楽団(第3回目の≪千人の交響曲≫の熱演が思い出されます)が、シュトラウスとマーラーの作品を演奏した後に、日本人なら誰でも知っている小学唱歌≪ふるさと≫を演奏します。高野辰之(18761941)作詞、岡野貞一(18781941)作曲の唱歌で、この曲が尋常小学校唱歌の6年生の教材になったのは1941(大正3)年のことでした。今回は京都出身でアメリカで学び現在ベルリンに在住している作曲家番場俊之がオーケストラに編曲したヴァージョンで、ステージの上の地元の声楽家と会場全体で歌いあげます。

 

 マーラーの時代は日本では唱歌の時代だったのです。ところで皆さんは、マーラーの次の言葉をご存知でしょうか。<私は三重の意味で故郷のない人間だ。オーストリア人のあいだではボヘミア人として、ドイツ人のあいだではオーストリア人として、全世界のなかではユダヤ人として。どこに行っても≪歓迎≫されることはない。> マーラーにとっての<ふるさと>の問題は、その音楽の本質そのものなのです。